遊んで航海記

思いつきで遊んだり、ゲームを作ったり、寝たり

Unicessingで遊ぼう! ProcessingのコードをUnityに移植するの巻

 前回下記の記事で予告した通り、この記事では、UnityでProcessingみたいに手軽に図形を描いたりできるアセットUnicessingを使って、Processingのコードを動かすコツをお伝えしようと思います!

eyln.hatenablog.com

 移植したサンプルプログラムの動作例はこちら。

Processingと同じ座標系に

 Unicessingは、Unityに馴染ませるため、Unity座標系をそのまま使うのを基本にしています。

 ただProcessingのコードを移植して参考にしたいときなどには、Processingの座標系(Y軸で上がマイナス、下がプラス、Z軸で奥がマイナス、手前がプラス)を使えた方が便利ですよね!

 なので Ver.0.14 から size(640, 480, P2D, 0.01f) などと書くことで、Processingの座標系モード(通称P5モード)になるという、実験的機能を入れてみました。

 width、heightを参照すると、size()で指定した640、480の値が返ってきます。GameObjectの中心がwidth、heightの画面の中央になるようになるようにしました。また、Unityの空間では1.0fが通常1mの大きさのため、そのまま使うと大きすぎなので、実際の表示物には0.01fのスケールを掛けるようにしています。

 P5モードでは、テクスチャの方向についてもV方向を逆転するようにして、正しく描画できるようにしました。rect()の基準点も左上になります(デフォルトのユニティモード(U3D)では左下が基準点)。

 あと Ver.0.15 で ellipse() の大きさバグなどもいくつか修正しました。※Ver.0.15については記事の最後に案内があります。

 ちなみにsize()でP2D、P3Dどちらを指定しても3D座標が使えますが、P2Dを使うとnoLights()を自動設定してライティングしないモードでスタートします。

 さて前置きが長くなりました。実際にいくつかコードを移植してみましょう! 最後に移植済みサンプルをまとめたunitypackageもあります(要Unicessing)。

Tree

 Processing標準サンプルのTopics/Fractals and L-Systems/Treeを移植します。

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 移植元のTree.pdeのコードはこちら。

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Unityで手軽にProcessingっぽく図形を描いて遊べるアセット Unicessing を作ったの巻

Unityで手軽にProcessingっぽく図形を描いて遊べるアセットとしてUnicessingというものを作りました。

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ProcessingやりたきゃProcessingやればいいじゃん、と思うかもですが、UnityならProcessingだけで作るよりも簡単に画面エフェクトをかけられたり、3Dキャラと組み合わせて動かしたり、最新のVR HMDに対応したりするのが楽なので。あとUnityなのにProcessing的にさささっとプロトタイピングする変態感を味わえます(使う用途には各自ご注意ください)。

α版を見た皆さまの感想

もともと個人的な趣味のような形で作っていたものなのですが、ちょっとしたものを軽く試すには結構面白いかも、と思ってJapan VR Fest.にてα版を公開したところ、さすがVR界隈の方というか、何事も手が速いノリよく遊んでいただいたり、コメントもいただけまして…

※他にもコメントや修正のアドバイスなどいろいろいただけました! ありがたや

Unicessing正式リリース

そして、つい最近正式版としてリリースできました。みなさまありがとうございます! 下に紹介動画もありますので、ひとまずどうぞ。

Unity Asset Store で Unicessing を見る


α版との主な違いは、README_jp.txtの更新履歴にありますが、概要としてはこんな感じです。

  • stroke()でrect()、ellipse()のエッジや、box()、sphere()、mesh()のワイヤーフレームを描ける、noStroke()で線を描かなくできる
  • noFill()で塗りつぶしをOFFにできる
  • rectMode()、ellipseMode()、imageMode()で矩形、円、画像の基準点を変えられる
  • USubGraphicsを使ったときの処理が速くなった
  • 迷路作成してカーソルキーで進めるMazeサンプルを追加
  • キャラを操作してランニングアクションができるRunnerサンプルを追加

Mazeサンプルはこれで、

Runnerはこれです。

このあたり、ノリで作ってる感丸出しであります。

あとオンラインから画像読み込んで並べるフライングカタログというサンプルも作ったのですが、 Amazonの画像を直接参照していたので、ひとまずカットしております。無念。

それと……

サンプル実行前にインポートしてほしいパッケージ

ストアの申請時に「AssetStoreのパッケージにはStandardAssetsを直接含めないでインポート手順を指示するだけにして」といった趣旨のリテイクがあったので、サンプルを確認する場合はお手数ですが下記のパッケージを手動でインポートしておいてください。

1. シネマティックイメージエフェクト

上記アセットをAsset Storeから入手してください。 カメラのImageEffectとしてBloomとTonemappingColorGradingだけを使用しています。

※Unityも5.5もリリースされましたし、今後はPostProcessingStackを使うのも良さそうですね。

2. Third Person Character(Ethan)

Runnnerサンプルでキャラクターとして使用しています。 Unityのメニューから Assets -> Import Package -> Character を選び Third Person Characterにチェックを入れてImportしてください。

Processingについて

Processingというのは、もともとMITのメディアラボで作られたビジュアルデザイン、アート系のコードをシンプルに書けるプログラミング言語で、教育やメディアアート、プロトタイピングなどの分野でよく使われたりしています。最近はp5.jsというJavaScriptライブラリとしても似たコードを動かせます。

現代のBASICというか、line(0, 0, 100, 100)と書くだけで線を描けるという単純明快さがとてもシンプルでよいと思っています。

ドットインストールにProcessing入門があったり、P5 Code Schoolというサイトにまとまった解説があったり、東京工科大学の資料もよい感じです。応用的なデモはFladdictさんのサイトなど気持ち良いです。

私自身も、Processingに関する本を(あまりProcessingらしくない使い方で)2冊書いているくらい、大好きなプログラミング言語です。

遊んで学ぶ はじめてのプログラミング ~Processingの魔法学校~

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↑の本のヘルプやチートシートをオンラインでも公開中なので、それも参考になるかもです。 書籍自体は、プログラムを魔法にみたてて、はじめてのところからお絵かきツールやアクションゲームを作るところまで、キャラクターたちと一緒に遊んで学ぶ、みたいな感じで解説しています。

遊んで作るスマホゲームプログラミング for Android

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↑の本はゲーム作りに特化してるので、プログラミングだけでなく、企画のアイデアづくりから解説してたりします。あとfor Androidとか書いてるのに、Androidネイティブ版以外にもHTML5iOS/Android両方動かしてるサンプルも結構あったり、Kinect使ったものがあったり、ハチャメチャです。

そういえば、本とは別に、自分のWebで動かしているちょっとしたデモなどもあります。Processing.jsというJavaScriptライブラリ(を自分で高速化したやつ)を使ったソースも見れます。

※ただし、UnicessingはProcessingとの互換性を維持するよりも、Unity上での使い勝手を重視して作っています。座標系などもUnity準拠ですし、独自拡張もいろいろあります。

※よりProcessingとの互換性を意識したAssetはuProcessingとしてGitHubで公開しています(描画の仕組みが異なるため、Unicessingよりは遅いのと、他と組み合わせた使い方をしにくいのと、最近さわってないので機能実装度合に差があったりはします。でも無償!)。

次回予告?

とはいえ、

という意見をいただいてナルホド! と思いましたので、次回ブログ記事でそのあたりのコツを書く予定です!(今回じゃなくてごめんなさい!)

Advent Calendar

そして、この記事はProcessing Advent Calendar 2016の12/4の記事でもあります。毎年面白い投稿があって完走してるのですが、今年は場所も移って常連さんの参加が少ないので、軽い気持ちで参戦していただけると嬉しいです。Unicessingもありだと思います!! ヘルプ…

qiita.com

Japan VR Festで登壇&刺激的な話を聞いたり、DCExpoで未来技術を体験した話

10/29 日本科学未来館にVR開発者が集ってしゃべる Japan VR Fest(旧オキュフェス)にお邪魔し、登壇してきました。

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この記事では、登壇準備の裏話や、まとめリンク、デジタルコンテンツエキスポの感想などもあわせてメモしておきます。

準備:実験したり、スライドを用意したり

VR Walk & Runはユニティちゃんになって(憑依して)、その場の足ぶみで歩いたり走ったり魔法を使ったりできるゲームです。

憑依する体験について

憑依する体験って 、いろんな可能性があると思うんですよね。

VR空間で自分の身体として動くボディを見たいという気持ちは、20年前の体験に遡ります。

NPCのいのち

しかし、それとは別に、NPC(囚われているもうひとりのユニティちゃん)の動きにも生き生きとしたものがだせればな、と思って少し前から実験をしていました。

また、VRのキャラクターでモーション再生っぽさを減らすにはどうしたらいいかなと思い、実際に人を観察して、プログラム生成でゆらぎをいれたらどうかなと実験したのが下記のもの。

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100人がユニティちゃんになった日 VR Walk & Run、Unity VR EXPO出展記

2016年7月17日Unity VR EXPOというVRコンテツの展示会があったのですが、そこに出展したときのアレコレをTwitterからまとめてみました。VRの開発や展示、イベントに行くひとの参考に多少はなるかも。

events.unity3d.jp

イベントのデモリールはこちら。

VR Walk & Runという謎の名称ですが、ユニティちゃんになってVR世界を歩いたり、走ったり、囚われているもうひとりのユニティちゃんを助けたりするコンテンツです。Oculus RiftLeap Motionを使っています。

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※開発時の話を知りたい方は以前の記事へどうぞ。

eyln.hatenablog.com

イベント前日の設営。秋葉原の会場へ

まず機材をどうするかですが、ハンドキャリーしました。

スーツケースに入るようなPCとして最初から考えて買ってたので、なんとか収まってます。

HMDつけて足ぶみするのは目隠しして足ぶみするようなもの。自宅では使ってないけど、イベントでは安全のため子供用のボールプールを持っていって、囲いにしました。素足で入れば、足の感覚で位置のズレがわかります。(これはアプリ側でHTC Viveみたいに危険ゾーンに近づいたらHMD側にガイドを表示するのでもよいかも)

機材トラブルも少し。もしかしたらという覚悟はあったのですが、ワイヤレスマウスなどの無線系はこういうところだと調子が悪いので、有線マウス&キーボードを現地調達しました。さすが秋葉原

あと、LeapMotionが反応しなくてPC再起動で直ったり、現地でオブジェクト追加したり、キャリブレーションで困ったり、素足でも歩きやすくするためマットひいたり…いろいろ調整。

準備については、昔アーケードゲームの展示などを仕事でしてたことあるんですが、個人でVRのイベントに出展するのははじめてだったので、次の記事をかなり参考にさせていただきました。

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イベント当日

当日は会場の外でもけっこう並んでる方がいて、開始と同時にたくさんのひとが。

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7/17 Unity VR EXPO AKIBAにVR Walk & Run出展決定

Oculus Rift CV1(製品版)が届いてすぐ↓のようなことをやっていて

eyln.hatenablog.com

ちょうどよくイベントがあったので応募しつつ、こういうことをやってたりしたのですが…

そうしているうちに、Unity社から連絡があり、出展が決まりました! (ブログでは告知してなかったのでいまさら告知)

※でも商用コンテンツ扱いになりそうだったので、今回おきゅらすたんは登場しません。無念。

※今回はハロウィンコスチュームのUnityちゃんになれます。

でも、応募時点でよい名前を思いつかなくて、なし崩し的にVR Walk & Runのまま行くことにしましたよ。

いやぁ、検索しづらいですよね、これ。(その後、ありがたいことに名前を提案してくださった方もいて、それも踏まえて別名考えようと思っていたら、それよりいろいろ開発しないと出せないぞ、となって、そのまま)

当日はこのコンテンツDLカードのもの(7/11 Ver)をよりも少し発展したバージョンを展示予定です。(コンテンツDLカードの方も差し替えできるようなら差し替えするかも)

Oculus Rift CV1との出会いからユニティちゃんになるまでの記録

第一話:VR機材、高いけどしょうがない

ヘッドマウントディスプレイを頭につけて「3D世界にいる」ように感じるVR、2012年Oculus RiftがE3やKickstarterに登場して以来どんどん開発が進み、今年はVR元年なんて言われるほど盛り上がってきました。この○○元年は、電子書籍とか3Dテレビとか思い出すと嫌な予感がしなくもないですが、まぁ、楽しければいいんです。

子供のころからパビリオンの3D体験などが好きで、ジョイポリスのクリプトではModel2基盤とプロジェクターを使いつつ3D世界に入る体験をして、未来を知って「これだ」と思ったものです。そして、PS2はVRかなと期待し、PS3こそVRかなと期待し、そしてPS4やっとついにVRですよ。

で、VRはOculusのDK1、DK2など体験はしていたのですが、購入するのは今回初めてです。

VR機材、高いけどしょうがない。だって別の場所、世界に行けるんですよ?

VR Ready PCを探せ

VRはハイスペックのマシンとくにGPU性能が必要なので、普段使っているiMacだと無理。ということで少し小型のWindows PCで条件があいそうなものを探してみます。

Oculus ナマモノ 届く

Oculus Storeにあるデモは無料のものもクオリティが高く、Oculus DREAM DECKやIntroduction to Virtual Reality、Hennryなど短時間で操作の必要もなく世界を感じさせるデモがいくつもあります。(ゲームはSteamで買う方が安くてお得ですが! Oculusさんガンバッテ…)

第二話:自キャラを出したい

VRのデモやゲーム、楽しいのですが、自分が透明人間なコンテンツが多く、昔自分が感じた「ゲームの世界に自分がいる」という感じをもっと味わいたくなりました。で、自作してみることに。

Leap MotionというデバイスHMDに取り付けて手の動きを認識するように。

[asin:B00BT82WUI:detail]

でも物理デバイスの反応の良さには及ばないのとトラッキング範囲が狭いので、早くOculus Touchほしいです。

HTC Viveにはモーションコントローラーが付属しているので最高です。うらやましい。(両方体験しましたが、Viveは何かを持つ感覚、Touchの方は軽くてどちらかというと素手な感じで、それぞれよくできています)

HMD自体はViveはメガネを入れやすく、OculusはViveに比べてケーブルが軽いのと、ヘッドホンがくっついているのがよいです。

自分の体がユニティちゃんになっているのは不思議な感覚です。

第三話:その世界を歩きたい

VRでの移動は酔いやすいので、等速で動かすとか、行先示してテレポーテーションするなど、いろんな方式が提案されているのですが、そうすると酔わないけど現実と違う違和感が強くて、モニターで遊ぶゲームの方が移動がリアルに感じたりしました。

まぁ現実にテレポーテーションして移動できれば最高なので、脳が現実に縛られすぎているわけでもありますが!

一方、HTC Viveでルームスケールで歩く体験は没入感があって、Sisterのデモなんか部屋にいてそこを歩いている感がとてもよかったです。

でも部屋以上の世界にも行きたい。結局、ルームスケールで動ける範囲は広くはなく、現実の壁がVR世界を邪魔することになります。狭い部屋から広大な世界に行きたいのに、なぜ現実が邪魔するのですか! うぅ。

そんなわけでその場足踏みで無限に移動できる方式を試してみようと思いました。

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