遊んで航海記

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為せば成る。VRゲーム「メドゥーサと恋人」を海外展示する話 - 準備編 -

この記事では、AnimeExpoの思い出を、海外でVRコンテンツを展示するときのTIPS的に取り留めなくまとめています。最初は準備編ということで、開発と渡米、設営までのお話です。

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AnimeExpo

アメリカのロサンゼルスで行われるAnimeExpoというイベント、ご存知でしょうか? アニメや日本のキャラクター好きが30万人以上参加し、コスプレやグッズ販売のほか、ゲーム関連の展示もあったりする熱気あふれるイベントです。

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2017年は、日本の複数のVRコンテンツを集めてアピールしてはどうかということで、集英社さん、桜花一門さんを中心に、面白いチームができあがりました。

ジャンプVRが、「Anime Expo 2017」の「日本キャラVR祭~Japan Character VR~」に出展決定!

ざっと書くと、集英社:ジャンプVRの4コンテンツ、桜花一門:Chain Man、講談社:Hop Step Sing!、Cover:コスプレキャスト、MyDearest:Innocent Forest、サークルハイドレンジャー:ガンナーオブドラグーン、白井研究室:マンガジェネレーターやReal Baby - Real Family、イリュージョン、KISSの某タイトルなどなど。

で、私 n_ryota のship of EYLNも……

この時点ではさらっと言ってますが、このメドゥーサと恋人、桜花さんにAnimeExpoにお誘いをいただいたのが渡米の一ヶ月前ぐらいだったので、そのときは本当にデモ映像やスクリーンショット用に一場面を動かした程度のプログラムしか無い状態。だから今回は展示を辞退するか、VR Walkの展示をするのが安定かとは思いました。

でも、どうせなら新作も含めて海外の方の反応を知りたい、と思ったんです。それに、展示を行えば海外に限らず、国内へのアピールにもなります。なので強引に「メドゥーサと恋人」を展示するという道を歩もう、と。でも単に無謀なだけではなく、いざとなれば VR Walkがあるというバックアッププランもありで :P

ただ、メドゥーサは、PlayStation VRのコンテストを経て、所属会社の協力を得つつ開発をはじめたものだったので、PSVR用の開発もしつつ、海外展示のOculus版も作るという状態。ガイドやポスター素材も作らないといけないし、パスポートやら渡米用機材準備も必要。

なにより英語で展示なんてだいじょぶ? なんて心配もありつつ、しかも、裏ではこの件とは関係なく、とあるbotを作成して運用しはじめたり……なんでそんなに詰め込むんだろう、と自分で思うけど、やりたいことが重なったんだからしょうがないですよね。

ちなみにGOROmanさんは2014年時点で、すでに魅力的な展示をしてました!

この行動力に比べれば…全然行けるはずっ!

グッズ?

では急いで開発を!

いや、安心じゃない。グッズを作ってる場合じゃないんだよ! キミ!

まぁ、これには理由がありまして、グッズは制作に時間がかかるので、先に手をつけないといけなかったんですよね。

本当は単に欲しかっただけですが!!

でも海外で売ると税金とか面倒そうだったので、海外ではプレゼント用です。 (渡米後、パルマーたんにもあげました)

準備するもの多くない?

開発しながらトレイラー(PV)素材が必要ということで、なんとか用意します。

Twitterで公開したのはこの日付ですが、もうちょっと前に作成して提出してたのです。

でもゲームできてない。未実装機能を入れるとか、操作とか、破綻する場面を塞ぐとか、はじまりから終わりの流れを作るとか、調整とか、いろいろ作業が残ってます。

渡米前にAnimeExpoに出店する日本のVR出展者が集まる壮行会があったので、そこにあわせて、最低限、はじまりから終わりまでがあって、大きな破綻なくゲームができる状態にもっていったバージョンがこちら。

自分以外がプレイしたのは初で、このときの様子を見てボスの弱点をわかりやすく目立たせたり、キャラモデルをアップデートしたり、いくつか改良を加えて渡米バージョンにしました。

PressKitのページ用に、スクリーンショットを撮影したり。

この時点でトレイラーの画像とモデル違うんですが、気にしてはいけない! トレイラーは複数タイトルをまとめた動画にしてくれるということで〆切が早かったのです。

でも、自分のブースで展示中に流す動画も用意しなきゃ、と。これがないと体験前にアピールしにくいですからね。

あと、ポスターに書いてあるURLのリンク先ページも必要なので、cssテンプレート探して急遽作成してしまいます。

dev.eyln.com

展示するってことは、こういったもろもろの準備が必要で、開発だけやってればよいわけではないんですよね。

とはいえ、展示中の動画は間に合わなければ使わないって方法もとれるし、スクリーンショットも数減らしたり、展示後にする手もなくはないので、間に合わなくてもなんとかなるものです。だから間に合わなかったときのことも考え、作業順はあとにしてある、というのが大事なポイント。で、作業自体もなるべく手短に、こだわりはほどほどで。ちなみに動画はいつもiMovieで編集してます。

パスポートやらなんやら

そういった展示の準備とは別に、移動の準備も必要です。

飛行機のチケットを予約するだけで簡単に渡米…というわけにはいかず、2年ぐらい前にパスポートが切れていたので発行する必要がありました。

※みなさんの中には、Passport Expired Guyという寓話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。この先人の知恵のおかげで危機感を持って行動できました :P

パスポートは申請前にいろいろ書類が……。

パスポートは平日に申請したあと後日受け取りに行く必要もあったり、面倒です。

で、パスポートを無事入手。それでOK! なわけでもなく、今はエスタの申請も必要という話を聞いて、こちらも申請。

アメリカに渡航する方へ。「エスタ」の事前申請をお忘れなく! | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

あとアメリカはクレジットカード社会だけど、現金もあった方がよいということで、銀行で$を入手しておきます。

開発中のこと、そして荷造り

周辺の準備だけじゃなくて、なにより開発しなきゃ本末転倒です。

なので、開発中はやりたいことを色々、箇条書きのToDoリストにして、やらなきゃダメなこと、やっておくといいことなどを優先度順に並べて、開発します。中には試してから判断することも色々あるので、それもどの程度やるか考えつつ、どんどん入れては試し。キャラモデル以外は、ほぼひとり開発なので、気兼ねなく「これどうかなぁ?」ということも実験できます。

マップの果てをどうするか、自キャラのライフをどうするか、ダメージを受けたときの表現をどうするか、2キャラ操作や視点をどうするか…etc.

通常のゲーム開発では、だいたいパターン化されてるものも、VRではどう表現すれば伝わり、酔いなく楽しめるかなど考えることは色々あります。

VRだと想像だけでは分からない部分が多かったり、黎明期のVRで既存パターンを踏襲するだけではもったいなく感じる部分もあります。なので、全部ではないにしろ小さく実験するというのは有効な方法だと思います。今回もいろいろ実験していて、さらに試したい解決案や、面白い表現を見つけて、今後こんなこともしてみたい、わくわくすっぞ、というToDoが増えたりしました(タスク増えてるじゃん)。あと、バグも含めて他のゲームにも使えるアイデアになったりも。

バグといえば、当然、開発中これはマズイというバグや場面にも出くわすので、それも優先度考えてToDoリストに差し込みます。

でも時間はそう多くないので、できることを形にするのが先決…というか、そうしないと出せない! で、楽しんでもらいたいのは当然ですが、完成形を展示ではなくて、リサーチして今後作っていく参考にするための展示でもあるので、その意味でも期日内の取捨選択は大事なのです。だから本当はこうしたいけど、今回は簡単に解決しておいて、次のタスクを実装する、とかそういう柔軟性が必要です。そ、そう、柔軟性だよ?

VALU ?

なんて言いつつ準備してる間に VALU が盛り上がってきてたので、試しに申請したらすぐ公開されてました。

このブログでもこんなふうにいろいろ情報共有したり、開発頑張っていきたいと思いますので、寄付的に応援してやるぜって方がいましたら、よろしくお願いします。

さて、そんなこんなで荷造りもなんとかできました。

渡米

今回は桜花さんと同じデルタ航空の便をとれて、何名かで一緒に行動できたのでとても心強かったです。

デルタ航空、はじめて利用しましたが、「モアナ」や「君の名は。」、「シンゴジラ」なども(また)観れたし、長いフライトも楽しく過ごせて快適でした。ちなみに飛行機でもらえるイヤホンは大抵しょぼいので、iPhoneのイヤホンなど別のものを持参して使った方が数段音がいいです。お試しあれ。

で、入国審査で今回は観光じゃなくてビジネス(展示なので)と正直に書いていきましたが、幸い難しい問いもなく、何日滞在するかとか聞かれて、無事入国できました。

現地で使う電話はモバイルWiFiをレンタルしてくとコストパフォマンス良さそうなのですが、私はこちらを利用してみることにしました。

一日ごとに操作しないといけないのは面倒ですが、回線が若干遅いな…と思うこと以外はトラブルなく使えて、なかなか便利でした。

設営

ロサンゼルスに着いたあと、移動は基本Uberでした。空港前は混んでて時間がかかったけど、他はだいたい15分以内に来てくれてとても便利(機材多いので大型車両をお願いしてても)。値段も良心的で、シェアして乗るのでさらに安く。で、目的地指定できるので挨拶程度の会話でもなんとかなるという。

ただ結構気さくに話してくれる方が多くて、ノリのいい桜花さんや、英語堪能ときめきしけんさんがうまく会話を進めてくれて、現地の方の話もわかって楽しかったです。

会場はかなり広くて、天井も高い。そしてパスがかわいい。

設営は概ね日本と変わりなく。ただ電源までが遠かったりが若干大変でした。

あと、いつものようなデスクトップPCの持参は無理があったので、VR対応ノートPC + プロジェクターという構成です。

オキュロス

おきゅらすたんも渡米!?

展示ホール 他の様子

宿へ

時差があるので、一日目は長かった…。


次はAnimeExpoイベント中、コスプレで体験してくれてる方の様子や展示中の生活、ヴィ―アールチョットデキル人の話などをお送りする予定です。

ChainMan

あ、そういえば、そろそろ出ますね、アレが! 今年の8/15あたりには桜花一門さんのVRステルスホラーアドベンチャー、ChainManが発売なのです。 夏に涼しくなるにはホラーですよね!

store.steampowered.com

体験版を遊んだことがあるのですが、音だけでもめちゃ怖くて、意識が研ぎ澄まされます。 なんか眠いけど目を覚ましたいときにも何度も活躍してくれました!(用途が違う)

製品版はどうなってるんだろう><